市町村の健康保険「国民健康保険」ですが、国民健康保険の支払いは税金よりずっと高く支払うのをためらうほどです。しかし、高い国民健康保険にも安くできる方法はいくつかあるのです。
と感じている人がほとんどではないでしょうか。
どうしたら保険料が安くなるのか。そして、国民健康保険がなぜ高いのか。この記事に当てはまらないなら、あなたの国民健康保険の支払いは安くなりません。
この記事の結論は以下のとおりです、
国民健康保険が高いのは、実は当然。こんな人なら国民健康保険が安くなる
【全国共通】
- 前年の所得が少ないことを申告する
- 会社都合により会社を退職した人
- 特別な理由で会社を退職した人
- 住民票がほかの人と一緒(両親や子ども)
- 社会保険を持った家族がいる
【市町村独自(お住まいの市町村次第)】
- 事業の経営が傾いた、会社都合に似た状況で退職した
- 障害や病気になり収入が減少した
- 収容・収監されていた時期がある
- 生活保護だった時期がある
- 2人以上子ども育てている
1.国民健康保険が高い理由、国保を抜けることはできないのか
「こんなに高いなら健康保険には入らない」「私は元気だから保険証はいらない」という人もいると思いますが、日本に住んでいる人は何かの健康保険に加入しておく義務があります。(※国民皆保険のため、抜けることができるのは他の健康保険に入るときだけです。)
また、国民健康保険税・国民健康保険料は、
「加入している人に必要な医療費を賄うためにいくら必要か?」
という考え方で決定され、市町村が独自に決定します。
※加入している市町村の国民健康保険によって、国民健康保険税・国民健康保険料と表現されているハズですが、この記事では総称して国民健康保険が「高い」「安い」と表現しております。
国民健康保険とは
国民健康保険は、健康保険の一つですが主に
- 「会社員とその扶養者」…社会保険に入っている人※公務員なども含む
- 「75歳以上」…高齢者の専用医療保険に入っている人※後期高齢者医療保険
以外の人のための健康保険です。裏を返せば国民健康保険は、
- 自営業、フリーランス…しっかり働いているが、収入に波がある人
- 失業者、無職…収入がない人、病気で働けない人
- アルバイト、パート…収入はあるが、主に非正規雇用の人
- 60歳~75歳のすでに会社を退職した人…主に年金収入で生活している人
の人達「事業主、無職、年金生活者」のための健康保険だと言ってよいでしょう。
傾向①:医療費が高い人が加入する
国民健康保険には、
- 失業者…ケガや病気で働けなくなった人
- 無職…病院から出ることができない人、重い病や障害を持つ人
- 会社を定年退職した人(60歳以上)…若い人より何倍も医療費が掛かる人
が多く加入しています。特に重い病で働けない人や60歳以上の人は、若い人の5倍以上医療費がかかると言われています。
そのため、社会保険を持つ現役世代と比較して医療費が何倍も掛かる人たちの健康保険であると言えます。
傾向②:所得が少ない人が加入する
また、国民健康保険には、
- 失業者、無職…収入がない人、収入はあるが国民健康保険を支払うお金がない人
- アルバイト、パート…正規雇用の人に比べて収入が少ない人
- 会社を定年退職した人…現役時代ほど収入がない人
が多く加入しています。
収入・所得が少ない人は、国民健康保険が滞納され、支払えない傾向が高いので収入の少ない人が支払えない分を収入がある人が一部肩代わりしていることになります。(※農林水産業や観光業が栄えており、自営業が多い地域は収入が多いことが多いです。)
国民健康保険が高い3つの理由
高い理由①:構造的問題
最も大きな理由は、国民健康保険の傾向①・②にあるとおり、構造的な問題です。
健康保険の7割負担部分(病院で支払わなくてよい)に必要な費用は、加入している人が支払う保険料と国からの補助金で賄われます。医療が必要な人が多く加入し、収入の少ない人の占める比率が高い国民健康保険では、収入のある人の保険料が高額になってしまうのは当然なのです。
(※退職した人が多く入ってくる傾向が高いため、国民健康保険のための補助金も一部あります。)
高い理由②:会社の負担がない
2つ目は、社会保険は会社が半額負担してくれるという点です。
社会保険の保険料は、収入の約10~12%を支払いが必要ですがこのうちの半分(5~6%)を会社が負担してくれます。一方、国民健康保険ではこのような折半制度はありません。
(※収入が少ない人の保険料を国や県が補助してくれる制度はありますが、収入がある人のための制度ではありません。)
高い理由③:控除がない、扶養制度がない
各種控除がない
所得税や住民税などと共通で、前年度の所得を基に計算される国民健康保険ですが、「各種控除」よる減額制度がありません。
社会保険の場合にも控除がないことを考えれば不公平性はありませんが、個人の事情が反映される所得税・住民税とは異なり、国民健康保険には反映されないのです。
扶養制度がない
各種控除がないということは「配偶者や子供、両親を扶養」していても保険料は下がらず、むしろ扶養している家族が多いと保険料は上がる仕組みとなっています。
一方で、社会保険においては家族を扶養している場合でも、無償で保険証がもらえます。
2.国民健康保険はどれくらい高い?
社会保険の代表ともいえる「全国健康保険協会(協会けんぽ)」と国民健康保険を比較すると、国民健康保険が約2倍高いことが分かります。※国民健康保険は、福岡県某市の税率を基に算出したものですので、市町村によって異なります。
収入が200万円の場合、1.6倍高い(独身)
40歳未満で独身の人の給与収入が200万円の場合、社会保険なら月8,700円に対し、国民健康保険は1.6倍の月13,700円の支払いが必要になります。
収入300万円の場合、2.6倍高い(3人家族)
2人夫婦(40~65歳)のと子供1人の3人家族で、世帯主に300万円の給与収入がある場合、社会保険なら月12,020円に対し、国民健康保険は2.6倍の月31,700円の支払いが必要になります。
3.国民健康保険の支払いを安くする方法
国民健康保険の支払いを安くする方法は、以下の方法です。当てはまるものがあれば、お住まいの市町村に問い合わせて手続きをしましょう。
【全国共通の減免制度】
前年の所得が少ないことを申告する
前年の所得(収入)が少ないと、国民健康保険が2~7割安くなる制度があります。(※手続き不要)
この減額制度は、収入が少ないということが把握できている場合のみ安くなる制度ですので、収入の申告をしていない人や収入が多い人は安くなりません。
しかし、収入がない人や少ない人は、所得税や住民税が非課税です。そのため、自分が収入の申告をしなくてもいいと勘違いして手続き漏れとなっていることがほとんどです。今からでも間に合いますので、収入の申告(貯金や失業手当、非課税の収入で生活していたこと)を必ずしましょう。
会社都合により会社を退職した人、特別な理由で会社を退職した人
会社の都合や特別な自己都合を理由に退職した人は、国民健康保険が約2年の間、7割安くなる制度があります。また、この場合は失業保険の待遇もよくなるというメリットがあります。
住民票がほかの人と一緒
住民票がほかの家族と一緒の場合、自分の収入は少なくても家族の収入が多いことで「前年の所得が少ない」という条件を満たせない場合があります。
その場合は、住民票を分離する(①ほかの家族+②あなた)ことで、あなたの所得に見合った安い国民健康保険になります。※同じ家に住んでいても、住民票を分けることはできます(同住所別世帯)。
社会保険を持った家族がいる
社会保険を持った家族がいる場合、扶養家族になることで国民健康保険を支払わなくてよくなります(※0円で保険証が手に入る)。あなたの収入や家族と同居しているかなど3つの条件を満たすだけなので、積極的に扶養になることをおススメします(※家族の負担が増えることはありません)。
【市町村独自の減免制度】
ここからは、お住まいの市町村次第で減免をしてもらえる制度です。全国共通ではありませんから、市町村によっては対象外になります。※市町村が減免している傾向が高い順に掲載しています。
市町村の条例や要綱(地方の法律)に記載してありますが、詳細に調べるのは大変ですので電話などで問い合わせてみるとよいでしょう。
事業の経営が傾いた、会社都合に似た状況で退職した
全国共通の減免制度で紹介した「会社都合と特別な理由の自己都合」による減免ですが、この減免は雇用保険(失業保険)に加入していた人のみが減免される制度になっています。
そのため、雇用保険に加入していなかった人や自営業・フリーランスを廃業した人は減免されません。市町村によっては、雇用保険に入っていなかった人や自営業者・フリーランスなどを救済してくれる場合があります。
障害や病気になり収入が減少した
国民健康保険は、前年の所得によって支払いが決まりますが、特に収入の変動が大きい自営業・フリーランスの人は、ケガや病気で働けなくなることで収入が減った場合、突然支払いが難しくなることも少なくありません。(※会社員の場合でも、病休で収入が減るなど)
その場合は、今年の収入や現況を報告することで一部を減免をしてくれる制度があります。
収容・収監されていた時期がある、生活保護だった時期がある
収監されていた期間は、健康保険が使えません。また、生活保護を受けている≒生活の立て直しを図っているのに、国民健康保険が高いと生活の立て直しの障壁となっていまいます。
このように「健康保険を使うために支払っているのに、使えない状況にいた」「生活を立て直すために、支払いを免除してほしい」という理由で免除をしてくれる市町村も少なくありません。
2人以上子ども育てている
最後は「多子減免」です。社会保険は扶養家族の保険料が掛からないのに対し、国民健康保険は扶養家族の人数だけ高くなる制度になっています。
そこで、子供を2人以上育てている場合は子供の分を免除してくれる制度です。取り入れているい市町村は、他の減免制度に比べて多くはありませんが月数千円が減額されますので、子育て世代の負担が大きく減る減免制度です。
4.まとめ(国民健康保険は高いが、減免制度も多くある)
日本は「国民皆保険制度」を実施しており、あなたも何らかの健康保険に入っていなければなりません。そのため、「国民健康保険を抜ける代わりに、国民健康保険は払わない」ことは許されません。
また、国民健康保険は、収入の少ない人・医療費が高い人が加入する傾向が高く収入のある人の保険料は社会保険に比べて2倍を超えることも少なくありません。一方で、減免の制度は多様に設けてあり、該当さえしていれば最大7割の減額になる場合もあります。(※該当してなければ、減免はありません)
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