人生での経験

公務員になるならどっちがいい?地方公務員と国家公務員の違いとは?【業務内容・残業・年収】

人生での経験

 失業がなく安定していると言われる「公務員」ですが、公務員にも大きく「地方公務員」「国家公務員」の2種類があり、業務内容も収入も大きく異なります。初めての就職が公務員の場合や転職先を公務員で考えている人は、特に業務内容や残業(時間外手当)、年収などで決めたいと思われているのではないでしょうか。

就職先・転職先を「公務員」にしようと思うけど、、、
  • 地方公務員と国家公務員がやる仕事の大きな違いって何?
  • 地方公務員と国家公務員、年収が高いのはどっち?
  • 地方公務員は定時帰宅だよね?国家公務員は激務ってホント?

 今回は、私の地方公務員(中核都市※20万人前後)と国家公務員(中央省庁※霞が関)、それぞれに在籍していた経験をもとに地方公務員と国家公務員の差や待遇・取り扱いの違いについて解説していきます。

この記事の結論は、以下のとおりです。

  • 地方公務員と国家公務員で最も違うのは、「業務範囲」と「議会対応」
  • 地方公務員にも残業はある。部署によっては、国家公務員をも超える。
  • ワークライフバランス重視(残業が少ないほどいい)だけでは、どちらかを選べない。
  • 待遇や収入面重視ならば、国家公務員。地方公務員のいいところは、議会対応
  • (私は、地方公務員の方が良かったです。)

 この記事は私の在職中に、「〇〇町・〇〇村・他市」や「都道府県」の職員、「他府省庁(中央省庁)」の職員などへのヒアリング等を行った内容を含んでいるため、一般性は高いと考えています。しかし、「政令指定都市」、「国の出先機関(〇〇局、〇〇署)」に係る勤務・調査をあまりしたことがないことと、事務官としての視点によるものですので、その点、ご留意ください。
※1「都道府県・政令指定都市」「国の出先機関」「技官」の方でも、参考にはなると思います。
※2「公安関係(消防、警察)」及び「教職員」は対象外です。

 もし、地方公務員と国家公務員の具体的な仕事や残業の実態について興味がある人は、以下の記事が参考になりましたら幸いです。

1.地方公務員と国家公務員って、具体的にどんな職業?

 公務員を「地方公務員」と「国家公務員」の2つに分けても、実際はさらに細かく、簡単に一括りに説明することはできません。そのため、ここでの「地方公務員」と「国家公務員」は以下のような職種のことを指すこととします。

  • 地方公務員…市町村職員(政令指定都市・特別区)、都道府県職員
  • 国家公務員…中央省庁で働く人、中央省庁の出先機関で働く人

※その他の地方公務員…「教職員」「公安関係(消防士、警察官)」
※その他の国家公務員…「自衛官」「裁判官」「税関」    など

2.「地方公務員」と「国家公務員」の業務の大きな違いは2つ

 地方公務員と国家公務員の最も大きな違いは「業務の範囲」「議会の形」の2つだと思います。

 1つ目の業務の範囲について、地方公務員の場合は、福祉、子ども、観光、土木、災害…と、ありとあらゆる部署に異動する可能性がある一方で、国家公務員の異動は省庁の所掌に繋がりのある部署になるという点です。

 そして、2つ目の議会の形は、地方公務員の「地方議会(市町村議会・都道府県議会)」と国家公務員の「国会」は仕組みが全く別物であるため、業務量が全く異なるという点です。

①地方公務員は幅広い業務範囲、省庁(国家公務員)は専門化された業務範囲

 地方公務員は、「市町村長」または「都道府県知事」の持つあらゆる業務のうちの一部を任されることとなります。しかし、役所には「土木部、福祉部、市民部…、総務部」など5~10程度の部とそれぞれに紐づく50~100程度の課がありますので、どこに配属されるかは人事課のみぞ知る…ものです。

 一方、国家公務員の場合は(※仮に国土交通省を例とすると)「建設部、河川部、航空部…、鉄道部」といった掲げている省庁名に類する業務内を移動することとなります。※地方公務員でいえば、土木部内。

 そのため、地方公務員の異動は転職と言っていいほど別の環境になることがありえますが、国家公務員はある程度絞られているため、業務内容は変わるでしょうが地方公務員ほどの激変はないと言えるでしょう。

②地方公務員の地方議会と国家公務員の通常国会

 楽な仕事と揶揄される公務員にとっての最大の業務は「議会対応」と言っても過言ではありません。

 一般の業種の方にはあまり馴染みのない業務かもしれませんが、株式会社でいえば「株主総会」、個人事業主でいえば「融資元・借入先との協議」と言ったところでしょうか。つまりは「自分の所属する組織(普段仕事をしている上司や部下、同僚)と違う属性をもつ偉い人」から質問攻めに遭う日です。

 公務員の仕事は、議会の方たち(以下、議員※住民を代表する人・住民の代弁者)に納得してもらうことが大変なのですが、議員は常に公務員を詰問しているわけではありません。※納得してもらえなくても、事実を詳らかに説明する。

 「議会開会中」が正念場なのです。

 しかし、この「議会開会期間」地方議会が年4回(6,9,12,2月)にそれぞれ15日程度の計60日程度なのに対し、通常国会は1~6月の180日間と、約3倍の期間に渡って開催されます。

 どちらが疲弊するかは火を見るよりも明らかだと思います。また、国会の「衆議院」と「参議院」は別物ですから、2つの議会が同時開催されているため、国会の日当たり業務量は2倍だと思います。※当然、同時に呼ばれることもあります。(ちなみに、東京都議員が120人程度に対し、衆議院が465人・参議院が248人です…。)

3.地方公務員と国家公務員で年収が高いのはどっち?

 地方公務員と国家公務員の平均年収を比べると「国家公務員が高い」というのは事実です。しかし、基本給が高いのであればともかく、時間外労働が過剰であったり、手当の有無を知らずに比較するのは危険です。

 確かに、単純に「地方公務員の月収(約36万円)」と「国家公務員の月収(約41万円)」を比較してみても、国家公務員の月収の方が高いですが、時間外手当を除いた給料(平均給料月額(基本給))にはほとんど差がなく、国家公務員の諸手当月額が約4万円高いことがわかります。

 〇地方公務員給与実態調査結果等の概要

 〇国家公務員給与等実態調査の結果概要

公務員の年収は地域によって違う!?「地域手当」

 この表に書かれた、諸手当には以下のような手当が含まれています。

  • 地域手当 … 物価が高い地域で勤めている人への手当
  • 扶養手当 … 扶養家族がいる人への手当
  • 住居手当 … 主に賃貸に住んでいる人への手当
  • その他  … 霞が関に勤めている人への手当(調整手当)、寒冷地等手当

 この地域手当は、東京や政令指定都市などの都会に勤めている人が多くもらえる手当であるため、国家公務員のほとんどに地域手当が支払われます。一方、地方に勤めていることが多い地方公務員は、地域手当の対象外になっている場合がほとんどであるため、結果的に地方公務員の諸手当月額の平均を引き下げているのです。つまり「国家公務員」の年収が高いのではなく、「都会に勤めている公務員」の年収が高いのです。

 しかし、この物価手当そのものは物価高を手当てするものですので収入があっても、それだけ支出が多い地域に居住しているため、実際の可処分所得への影響は少ないでしょう。

時間外業務が多いければ、当然年収は高くなる!

 それでは、地域手当などを考慮したうえで、地方公務員の年収と国家公務員の年収を比較したらどちらが高いのか…というと、「ラスパイレス指数」などで測ることはできますが、厳密に比較をしたい人は少ないかと思いますので、ここでは割愛します。

 国家公務員で平均時間外労働が多い部署(100~200時間)も少なくありません。もちろん、国家公務員でも月10時間の時間外労働がない部署もあれば、地方公務員で100時間越えも珍しくありません。※私が勤めた地方公務員時代・国家公務員時代でも、月100時間越えから月数時間の部署を渡りました。

 そのため、比較的時間外労働の多い、国家公務員の年収が多くなるのは必然ですし、時間外手当は、あくまで自分が働いた分の見返りですので、これだけで収入が多いとは言い切れません。むしろ、ワークライフバランスを重視する人からすればマイナス要素にもなりえますので、年収だけを鵜呑みにしないようにしましょう。

4.まとめ(地方公務員と国家公務員どっちがいいの?)

 冒頭にも書いた通り、私は地方公務員の方が性に合っていました。

 なぜならば、専門的に物事を突き詰めたりすることが苦手でしたし、新しいことを学ぶことが好きだったため、地方公務員時代の異動が楽しみでした。また、国家公務員時代の国会業務が苦手でした。

 そして、なにより地方公務員の相手(お客さん)は、住民の方と思えるのですが国家公務員の仕事をしていて国民のために仕事ができていると感じられることが少なかったのも理由の一つです。

 一方で、収入は国家公務員時代の方が30~40%多かったですし、物価の高さなどは、国家公務員官舎を借りることで、生活費が低く抑えていたこともあり、金銭的には随分余裕があった気がします。
 ※都道府県を除く一般の地方公共団体には、官舎はあまりありません。

 あなたの職業の選択において、助けになれましたならば幸いです。

 

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