国民健康保険証に加入している人が、国民健康保険税や国民健康保険料を払えない(以下、国民健康保険が払えない)場合は、保険証が届かなかったり、差し押さえを受けたりします。
では、どれくらい国民健康保険を滞納していても大丈夫なのでしょうか。また、滞納して保険証が届かなかった場合はどのように対処したらよいのでしょうか。
この記事では、「国民健康保険が払えないとどうなるのか」「国民健康保険証が届いていない場合の対処法」について解説します。
この記事の結論は、
- 国民健康保険を滞納していると、国民健康保険証が届かなくなる
- 滞納していて、国民健康保険証が届かない時は役所に相談
- 支払いができなくても、国民健康保険証をもらうことができる
1.国民健康保険を滞納するとどうなる?
国民健康保険を滞納していると、①督促(注意)、②保険証の期限が短くなる、③保険証が使えない・届かない、④換価(差し押さえ)が行われます。
- 納期を過ぎる督促状などが届く(ハガキや封筒)、延滞金が発生する
- 1年未満滞納有効期限の短い国民健康保険証が届く(元々の期限は1年間)
- 1年以上滞納国民健康保険証が届かなくなる(国民健康保険資格証明書が届く)
- 督促状を無視銀行口座や財産を差し押さえられる
①役所から督促状が届くと、元金以外の支払いが発生する
納期限までに国民健康保険を納めないと、督促状や特別催告状が届きます。
督促状は「早く払ってください。でないと、保険証が使えなくなったり、財産を差し押さえたりしますよ」という通知です。この通知がきて1~2か月で、すぐに保険証が使えなくなったり、財産を差し押さえられるということはありません。
督促状が届いても支払わない場合は「督促通知料金(100円程度)」や「延滞金(年利8~15%)」を元金とは別に追加で支払わなければなりません。※督促通知料金がない場合もあります。
②有効期限の短い保険証に切り替わる
国民健康保険を滞納している場合、短期保険証(有効期限が短い保険証)に切り替わります。
国民健康保険証の有効期限は1年間ですが、短期保険証は3か月や6か月などさまざまです。短期保険証は、国民健康保険証の有効期限が短いだけですので病院の窓口での支払いや高額医療費など自己負担が大きくなるわけではありません。(※支払いは3割だけで大丈夫です。)
自己負担に差はなく、保険証の有効期限が短いものが届く理由
役所は、あなたに国民健康保険を払ってほしいと思っています。しかし、国民健康保険を払う余裕がない人の国民健康保険証をすぐに使えなくしてしまうと、医療を受けられず重大な問題になってしまいます。
そこで、役所は短期保険証の有効期限が切れたときは、直接役所へ相談に来てもらうことを想定しています。役所へ来てもらうことで、あなたの支払い計画や分割による納付の相談して、一部でもいいので国民健康保険の支払いをしてほしいのです。
③病院の窓口で支払う医療費が10割負担になる
督促状や短期保険証が届いているにも関わらず、国民健康保険を1年以上滞納していると、国民健康保険証が届かなくなります。代わりに「国民健康保険資格証明書(以下、資格証明書)」が届きます。(※この時、18歳未満の子供がいる場合は、子供の分の短期保険証だけ届きます※子供は3割負担。)
つまり、病院で国民健康保険証を提示することができませんので10割負担となります。(※資格証明書を提示しても10割の支払いです。)
病院代を10割支払った場合、役所から7割分を返してもらえる
病院で10割を支払った場合、あなたが損をするわけではありません。病院の領収書や振込口座などをもって役所で手続きをすれば、差額の7割分をあとから返してもらえます。
④特別催告状が届く、銀行口座・財産の差し押さえ
特別催告状は「財産を差し押さえます」という通知なので、督促状よりも危険度の高いものです。「財産を差し押さえられる場合もありますよ」という役所からの最終警告です。
銀行口座が差し押さえられると、お金をおろすことができなくなり、車や家を差し押さえられれば、使用することができなくなります。
押収、財産の換価
さらに無視すれば、差し押さえられた財産を換価されます。換価とは、財産をお金にする(売却する)ことで、売ったお金を国民健康保険に充てるということです。
2.保険証を手に入れるための対処法、3つ
国民健康保険証をもらうためには、まず、役所の窓口に行かなければなりません。しかし、滞納を重ねている場合、過去の支払いを一括で払うのは難しいと思います。そんな場合でも、保険証を手に入れる方法は以下の3つです。
社会保険のある会社に就職する、社会保険の扶養に入る
会社に就職した場合や社会保険の扶養に入った場合は、社会保険証をもらうことができます。社会保険の扶養は、社会保険を持つ家族がいる・自分の収入が少ないといった条件を満たすだけで社会保険証をもらえます。
詳しくは、別の記事で紹介していますので参考にしてみてください。
計画的な納付を約束する
保険証を止められている時点で滞納額は最低でも4~5万円はあるハズですので、過去の支払いを一気に解消するのは相当難しいでしょう。
しかし、役所に「いつか、あなたの滞納している国民健康保険が解消する予定がある」ことに納得してもらえれば、新しい保険証をもらうことができる場合がほとんどです。
例えば、月の保険料が5,000円の人が、月3,000円払うという提案をしても納得はしてもらえません。(※家族の入院や突然の失業などで支払いが困難な場合などを除く)
この場合は、「月5,000円を超える支払いを続ける」または「すぐは難しいが、○か月後から月1万円程度納付する」と約束するなど、滞納を解消する意思があることを説明しましょう。
国民健康保険の支払いを減額・免除してもらう
役所は、国民健康保険の滞納が減れば国民健康保険証をくれます。つまり、支払いに限らず「実は国民健康保険の減額・免除に該当します」という場合でも、国民健康保険証がもらえます。具体的な事由は以下のとおりです。
【全国共通】減免(減額・免除)してもらう方法
収入が少ない(2~7割減額)
前年度の収入が少ない場合、保険料を最大7割減額してもらえます。
- 収入が少ない人は、自動的に支払いを減額してくれる制度(手続き不要)
- ただし、無収入や低収入の人でも収入の申告をしていない人は対象外なので注意
(その場で申告をしましょう)
会社都合退職で仕事を失った(7割減額)
会社都合で退職をしたことにより、国民健康保険に入っている人は7割の減額をしてもらえます。
- 窓口で手続きが必要
- ハローワークでもらうことができる証明書の提出が必要
【市町村次第】減免(減額・免除)してもらう方法
全国共通の減免とは他に、お住まいの市町村が独自に減免制度を持っていることが多いです。詳しくは、役所に聞いてみなければ分かりませんので、該当するものがあれば質問をしてみましょう。
市町村独自の減免制度(例)
- 事業経営が傾いた、会社都合に似た状況で退職した
- 障害や病気になり収入が減少した
- 収容・収監されていた時期がある
- 生活保護だった時期がある
国民健康保険の支払いを減額・免除してもらう方法については、別の記事で細かく紹介していますので参考にしてください。
3.まとめ
国民健康保険を滞納していると、保険証が使えなくなってしまいます。また、延滞金や督促手数料の支払いを求められたり、場合によっては財産を差し押さえられる可能性があります。
保険証が使えない場合は、病院へ行った場合に10割を負担することになるわけですが、受診後に7割を役所が返してくれます。しかし、保険証をもらう場合や受診後7割を返してもらう場合には、役所と支払い相談をしなければいけません。
そのために役所へ行った場合は、その場で「滞納をすべて一括納付しなさい」とは言われなくとも、将来に向けて、滞納を解消するためにも支払い計画を立てる必要があります。そのために、減免制度を活用し、社会保険(就職・扶養)に加入するなど長期的な視点で相談するといいでしょう。
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