昨今は、小学生による中学受験も一般的になっており、高校生の大学等への進学率も毎年上がってきています(令和2年度の文部科学省調査によると、高校3年生の約57%が大学、約80%が進学(大学や専門学校)を選択。※平成初期は、約40%が大学、約50%が進学。)。
つまり、約半数が高校卒業で社会に出ていた平成初期と違い、令和の日本においては、大学や専門学校が最終学歴となる方が一般的となっており、高校を卒業してすぐに社会に出る人の方が少ないということです。
そして、中学生、高校生の子どもが希望する学校(より、環境の良い学校)へいくため、受験をするわけですが、合格をするために学習塾へ行くという選択肢があります。もちろん、私が若いころは、塾へ行っていましたし、大学生時代に塾の講師を務めたこともあります。
この記事では、「学習塾へ行くべき理由」と「子どもが学習塾に行くことによるメリット」を解説していきます。※この記事における「子ども」とは、受験をする予定の学生(中学生・高校生に限らず、中学校受験を目指す小学生を含む)を指しているという前提になります。
この記事の結論は、以下のとおりです。
- 受験をする予定なら、塾へは必ず行った方がよい。
- 総合的に最も優れているのは、地域にある「大手の集団指導塾」。
- 塾で成績を上げることも大事だが、塾へ行かせるだけでも十分意義はある。
1.受験をするなら大手の学習塾
受験や試験に重要な先生の能力とは
学習塾(以下、塾)に行く理由は、希望の学校(以下、希望校)に子どもが受験に合格(以下、合格)することです。※学校の授業の遅れを取り戻す場合や定期試験の成績を上げるために塾へ行く場合もありますが、授業の遅れを取り戻したその先には受験や試験に合格してもらうという目的があるはずです。
そして、授業の遅れを取り戻し、また、希望校に合格するうえで塾に求める最も重要なものは「①能力の高い先生から教えてもらう」ことと「②希望校への試験対策」が如何に備わっているです。
希望校への合格を目的にしていない家庭教師は、宿題を教えてくれますが、アルバイトの大学生が先生となる場合も多くあなたの子どもが希望校へ合格してほしいと思ってはいても、継続性や責任感が欠如していることも少なくありません。また、希望校を見据えた試験対策を取ることもできないため、塾を選択する方が賢明と言えます。※上記2つの条件を満たした家庭教師ならば問題ありませんが、珍しいでしょう。
先生の質を保ちやすいのは大手塾
塾を選ぶ重要な理由の1つ目は、個人塾の先生の質の確保です。
そして、その個人塾の先生の質を保証し、育ててくれるのは、塾の経営者や人事担当であるということです。では、
- その先生はどのように採用されたのでしょうか?面接による人柄と学歴ですか?
- 採用の際には、必要最低限の学力テストは実施され、合格したのでしょうか?
- その塾が過去に数々の生徒を合格させてきたノウハウは、先輩から引き継がれていますか?
- もしかして、その塾の問題は毎年同じものを使いまわしているのではないですか?
これは、人生で大きな買い物(車や家の購入など)をどうするかの判断に似ています。ほとんどの人が、大手の会社から購入するのではないでしょうか。※もちろん、ベンチャー企業や個人事業で優れた商品を開発し、成功している場合もあります。
大手を選ぶ理由は簡単で「失敗できない」からです。大手ならば、商品の品質の管理ができており、社会的信頼もあるので変なことはできない…。さらには、会社の経営を支えているのは、数々の難関を突破してきた優秀な社員たちだからです。
しかし、塾も商品とは先生で、その優秀な社員を発掘してきたのは人事や経営者です。
支払いを比較すれば、授業料は安いかもしれませんが、子どもの教育を買うことは、失敗できない大きな買い物なのではないでしょうか。
希望校(特に大学)の傾向・試験対策ができるのは大手塾
塾を選ぶ重要な理由の2つ目は、「希望校(試験)の傾向と対策」です。
傾向と対策とは、希望校の入試試験の問題を予測するようなものであり、希望校の過去問を見ておくだけでも本番の心の余裕が違います。それだけでなく、大問数(試験に出てくる問題数など)や過去に出た問題・出たことのない問題、時間配分が合否を左右することも少なくありません。
「だったら、個人塾でもできるんじゃない?」「大学も赤本とかあるし、対策できそう」
確かに、子どもの希望校の数は3~5ですし個人でも対策できる範囲です。しかし、その先生が教えているのはあなたの子どもだけではありません。幅広く教えるのであれば、周辺の高校と有名校を知っておく必要があるでしょう。
また、地域の高校などの数十校だけならまだしも、中学生・高校生の両方を教えている塾ともなれば、地域の国立大学と早慶上理関関同立日東駒専など有名私立大学なども知っておかなければならないとなりません。※国立大学は全国で80~90校あります。
2.受験をするなら集団指導形式
個人塾や大手塾とは別に、塾の形式には「①個別指導形式」と「②集団指導形式」の2つがあります。
※個別指導形式には、1:1以外に、「1:2」「1:6」などもあります。これらは、2つの中間案(良いとこどりであり、悪いとこどり)としたうえで、以下、集団指導形式をおススメいたします。
子どもの性格や成績はどうかを確認
どちらも子どもの性格や成績によって一長一短ありますが、総合的に判断すると「②集団指導形式の塾」の方がメリットが多いと思います。
2つ(個別指導形式か集団指導形式)を分ける大きなポイントは「塾の用意したカリキュラム(勉強計画)についていけそうか」です。もし、学校の勉強についていけている子どもや自主や予習、復習をできる子どもは、集団指導形式で十分です。集団指導形式は、授業料も比較的安いですし、予習や復習が自らできるのであれば個別指導形式にするのではなく上級者のコース(難関校コース、応用コース等)へと転身した方が効果的です(※効果的な理由は、後述)。
裏を返せば、学校の授業に遅れている生徒や予習や復習ができない生徒とかならば、集団指導形式では、勉強についていけず挫折してしまう可能性があるので、個別指導形式の方をお勧めします。
まずは、個別指導から入って先生(チューター)と話し合いながら、頃合いを見計らって集団指導形式にシフトしてもいいでしょう。
集団指導塾をおススメするポイント
単純な勉強時間や教えてくれる科目を比較するのであれば、5科目すべてについて付きっきりで個別指導してもらうのが最も適していますが、授業料が高額になっていまします。そのため、総合的に集団指導形式がよい理由について、集団指導形式ならではのメリットという観点から解説していきます。
※某塾であれば、5科目を個別指導形式で受けると集団指導形式の約3倍の授業料がかかります。
①子どもの助けになる
子どもが、学校以外で多くの人に出会うことで助けになることがあります。
よくあるケースとしては、成績が優秀な同級生と出会い勉強を教えるようになる場合や誰かに負けたくないという競争心からくるガッツが湧く場合です。その他にも、塾で出会った子の将来の夢や親御さんの職業、塾の先生が熱心な指導をしてくれるかもしれません。
また、少しの間でもあなたの手から離れることはあなたのリフレッシュになります。子どもにとっても、勉強に適した空間が提供されるわけですし、何か学校で悩みがあれば、別校の人や先生に話せることでリフレッシュになるでしょう。
②学校の先生を過信してはいけない
塾の先生の仕事は「子どもの成績を上げること」です。一方で、それが仕事でない「学校の先生」も「あなたの助言」も「子どもの同級生」も希望校への合格という目標においては、邪魔者となるかもしれません。
例えば、定期試験などの学校の先生が作るテストは、先生が出したテキスト・プリントをやっとけば合格することがほとんどですが、受験において「学校では教えてくれなかった」では済まされません。
先生の立場としても、優秀な生徒にだけ難しいことを教えることはできませんし、難しい問題を出せば平均点が下がります。となれば、モンスターペアレントからクレームが入るかもしれません…。義務教育においては、優秀な人間など生まれなくてもよく、落第する人間がいないことの方が大事なのです。
③子どもの目標が高まる
地元の中学・高校では成績トップだったのに、入塾したら下から数える成績だということは珍しくありません。残念ですが、井の中の蛙大海を知らずと言わざるを得ません。
子どもの戦う相手は「中学・高校の同級生」でなく、同じ希望校を目指すライバルです。
逆を言えば「塾の中で順位が低くても、受験勉強・対策をしていれば受かる」ということです。学校などの勉強以外にも勉強をしようという意思を持つ子ども(家庭)が多いわけですから、ここで争うことに意味があります。
塾に行くことで、より高い希望校への目標を持てたり、悪友との関係を断つことができたりとあなたが干渉しにくい環境をコントロールすることができるのです。また、塾には、子どもと同じ目標を持つ仲間がいます。同じ目標と同じ苦しみ、課題を持つ仲間がいるというのは子どもにとっても心強いものです。※逆に希望校へ全く届かないという現実を見る場合もありますが、失敗するよりずっと重要な情報です。
3.学習塾へ行かせるときの注意点
授業料がかかる
当然ですが、塾に行くには授業料がかかります。一般的な習い事より高額なことが多いですが、5教科難しければ、3科目。3科目が難しければ、苦手な1科目など検討してみて下さい、
送り迎え、遠くないことも大事
学校が終わった後に塾に行くことも多いので、夜が遅くなる場合も少なくありません。家から塾までの距離、学校との位置関係などを元に危険でないかなどを子どもと一緒に確かめておきましょう。
また、あまりに遠いと同じ学校の同級生がいないことでモチベーションが上がらなかったり、持続しなかったりしますので気をつけましょう。
塾の質がわかりにくい
塾の先生の質が高いかは、評価が難しく合格者数などで判断することも多いです。その時は、様々な学校に受かっているかではなく、多くの学生が受かっているかに注目しましょう。
(悪い例)
- ○○大学(国立)4名合格
- ▽▽大学(国立)3名合格
- △△大学(有名私立)5名合格
- □□大学(有名私立)6名合格
(良い例)
- ○○大学(国立)15名合格
- …
国立と私立は併願しやすいので、悪い例の合格者はほとんど同じ人5~6である可能性が高いです。一方で、良い例だと同じ大学(特に国立)に合格することは、少ないので、15人は合格していることになります。
4.まとめ(受験をするなら、学習塾は行くべき)
中学生や高校生の子どもは、希望校に合格するために、塾へ行くべきか。については、絶対に行くべきだと言えます。また、塾にも家庭教師や個人塾、大手塾などの形態がありますが、大手塾をお勧めしますし、中でも集団指導形式の塾が最も良いと思います。
受験は、子どもの将来を左右する重要なイベントであり、大きな買い物とも言えますので、家計と相談していただき、後悔のない塾選びの一助となったならば幸いです。
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