近年、日本を襲っている災害は強力になっており、その回数も頻繁となっています。また、襲来する地域についても、広範囲となっており、日本に住んでいる限り他人事とは言えません。
そして、災害に見舞われると言われても、襲来するかわからない災害に対する保険や事前対策に大金を投じるわけにはいきませんし、個人や地域で地下シェルターなどの強靭な建物を作るわけにもいきません。
今回は、災害が起きたときに現金が支給される法律「被災者生活再建支援制度(被災者生活再建支援金)」ついて解説します!
この記事の結論は、
- 被災者生活再建支援金は、国の制度だから全国共通・全国一律
- 適用されるかどうかは、市町村ごとで決まる
- お金がもらえるかどうかは、罹災証明書で決まる
- 似たような制度を都道府県が作っていることもあるから必ず確認!
1.被災者生活再建支援制度とは?わかりやすく解説!
被災者生活再建支援金とは(現金、非課税)
被災者生活再建支援制度とは「被災者生活再建支援法」という法律によって定められた制度のことを言います。つまり「被災者生活再建支援法=被災者生活再建支援制度」です。これは「法律」なので条件さえ合致すれば、日本全国どこに住んでいても適用されます。
この法律は、自然災害で家が被災した被災者に現金が支給される制度なのですが、要件を満たしたときにもらえる現金を被災者生活再建支援金(以下、支援金)と呼んでおり、最大で300万円にもなります。※支援金は、非課税なので所得税・住民税の支払いや収入申告は不要です。
支援金は「基礎支援金」と「加算支援金」の2つの合計額が支給され、それぞれでもらえる条件が異なります。
被災者生活再建支援金は何に使ってもいい
支援金は、非課税であるだけでなく、支給された全額を何に使っても自由です。
あとで詳しく説明しますが「加算支援金」をもらうには条件があります。しかし、これはあくまでもらうための条件であり、使用目的が決められているわけではないのです。
2.被災者生活再建支援金がもらえるのはどんな場合か
支援金は、自然災害で多くの被害があり、家が壊れた人がもらうことのできるお金です。
つまり、被災者生活再建支援金をもらえるのは、
「①自然災害によって」「②多くの被害があった地域に住んでいて」「③家が壊れた人」
です。
①自然災害とは
自然災害とは、災害が人の過失などによるものではなく自然発生的に起こった場合のことを言います。人が起こした事故などは自然災害とは言いません。
②大規模な被害があった場合に自動的に法律が適用される
次に大規模な被害があった場合です。対象になるのは、大規模な被害が発生した地域(市町村や都道府県)に住んでいる人となります。そのため、③の条件「家が壊れた人」であっても、あなたが対象地域に住んでいない場合は、対象となりません。
被害とは、人が住んでいる家が「どのくらい」「どの程度」壊れたかを基準として大規模であるかが判断されます(※壊れた数(○○棟)と壊れた程度(全壊▲棟、半壊▽棟))。
条件に該当する場合は、自動的に適用となりますが条件に該当するほどの被害があったかは都道府県の知事が判断することとなっています(※市町村に適用する場合も知事が判断)。
そのため、災害が起きてすぐ適用することは難しく、発生から1か月後に適用されることも少なくありません。
対象地域かどうかを確認する方法
あなたの住所が被災者生活再建支援法の対象かどうかは、都道府県や内閣府のホームページで確認することができます。災害発生後すぐに確認しても適用されていないはずなので、定期的に確認するか都道府県へ問い合わせてください。
→被災者生活再建支援法の適用状況についてはコチラ(内閣府 防災担当)
③家が壊れた人(罹災証明書をもらう)
あなたの家が壊れたときは、役所で罹災証明書をもらうことができます。
罹災証明書は「全壊~準半壊に至らない」の6段階で、どの程度家が壊れているかを証明するための書類ですが、支援金をもらうことができるのは「全壊、大規模半壊、中規模半壊」の場合に限られます(※半壊、準半壊、準半壊には至らないの場合はもらえません)。
罹災証明書を何に使うことができるかは、別の記事で紹介していますので参考にしてください。
3.被災者生活再建支援金はいくらもらえる?期限はある?
被災者生活再建支援金の額
被災者生活再建支援法が適用された地域に住んでいる場合で、家が壊れた人(中規模半壊以上)は、最大で300万円の支援金をもらうことができます。
支援金は「基礎支援金」と「加算支援金」の2種類あり「基礎支援金のみ」又は「基礎支援金+加算支援金」の手続きすることができます(※「基礎支援金」をもらった後に「加算支援金」と手続きをすることもできます)。
基礎支援金
基礎支援金は、罹災証明書の結果だけでもらうことができる支援金です。
基礎支援金をもらうことができる額
- 全壊、家屋解体・敷地被害・長期避難…100万円
- 大規模半壊…50万円
- 中規模半壊…0円(※中規模半壊の場合は、基礎支援金はもらえません)
加算支援金
加算支援金は「①家を建て直した」「②家を修理した」「③賃貸住宅へ引っ越した」場合に基礎支援金に加えて、追加でもらうことができる支援金です。
家が全壊になった人がもらうことができる加算支援金の額
- 家を建設・購入した場合…200万円
(※大規模半壊は200万円、中規模半壊なら100万円) - 家を補修・修理した場合…100万円
(※大規模半壊は100万円、中規模半壊なら50万円) - 賃貸住宅へ引っ越した場合…50万円
(※大規模半壊は50万円、中規模半壊なら25万円)
加算支援金をもらう条件さえ満たしていれば、家の購入代金や補修費用がいくらだったかは関係ありません。しかし、手続きをする場合に契約書などの提出が必要になりますので、注意して下さい。
また、最初に手続きをしたときに加算支援金の条件を満たしていない場合や、引っ越した後に家を購入した場合など、後日、新たに条件を満たした場合は加算支援金を再申請することができます
特別な支給条件(家屋の解体、敷地への被害、長期避難)
原則として、支援金をもらえるかは「罹災証明書」の結果で判断されますが、
- 家を解体せざるを得なくなった
- 敷地に被害があり、家を使えない
- 家が警戒区域の範囲内なので、避難している状態
の場合は、全壊と同じ取り扱いになります。
※罹災証明書は、災害で家が壊れたことを証明するものなので、例え、罹災証明書が「半壊」であっても、家以外が壊れて使えない場合や家を解体する場合は全壊とみなすという扱い。
申請をするときの注意点(期限)
支援金の申請期限は、基礎支援金と加算支援金の場合で異なります※都道府県によっては、原則の申請期限を延長する措置が取られている場合があります。
基礎支援金
申請の期限は、13か月以内です。
加算支援金
申請の期限は、37か月以内です。
加算支援金は、基礎支援金と違ってすぐに申請することができません。
※家を購入したり、修理したり、引っ越したりするのに時間がかかるため。
そのため、先に「基礎支援金だけ」手続きをしておき、条件を満たしたときは「あとで加算支援金」の手続きをすることもできますので、基礎支援金をもらい損ねることがないようにしましょう。
4.支援金以外にもらえる3つのお金
災害救助法(国の制度)
被災者生活再建支援法とよく混同される、災害救助法という法律があります。
災害救助法が適用されると、仮設住宅が提供や住宅の応急修理を県や国が被災者の代わりに契約・支払いをしてくれます。厳密には、現金が支給されるのではなく、支払いなどを肩代わりしてくれる制度です。
支援制度(都道府県の独自支援)
被災者生活再建支援法と同様に、罹災証明書の結果次第で都道府県から給付金をもらえる制度があります。被災者生活再建支援法の適用要件を満たしていなくても、支給されることがあります。
都道府県によっては、支援制度を作っていない場合もありますので、こちらのリンクからあなたが住んでいる都道府県が支援制度を持っているか確認しましょう。
義援金(赤十字など)
災害が発生すると、コンビニや役所の受付に募金箱が設置されます。また、日本赤十字社などは、募金専用の振込口座などを開設し、被災者の方の生活が早く元通りになるよう支援をしてくれます。
この募金は、都道府県や市町村に渡され、役所から被災者へ義援金が配分されます。義援金は被災状況や罹災証明書などを基に役所が決定します。
5.まとめ(その他の支援制度)
災害が発生した場合は、被災者の方はもちろんですが、役所の財布もキツくなります。被災者の方にお金をたくさん配ることができれば、復興や復旧も加速することになりますが、被災者の全員の生活にを元通りにするほど十分なお金を配るというのは、なかなか困難です。
「被災者生活再建支援法」が適用されれば、どんなに小さな自治体でも最大300万円の支援金をもらうことができますし、他の支援制度を受けることができる場合もあります。
この記事が、皆様の生活再建の一助となりますように。ご意見、ご感想は問い合わせフォームまで
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