今回は、休職したときにもらえるお金である「休業補償」と「休業手当」、そして、会社員の人がもらうことができる手当や補償のすべてについて解説し、以下のような疑問を解決します。
0.休業やケガをしてた会社員がもらえる手当とお金のすべて
※このページでは休業補償・休業手当を紹介していますので他の制度はリンクからご確認ください。
1.休業補償とは?仕事中のケガや病気で病気を休んだ
休業補償とは、仕事中のケガや病気によって会社を休んだ場合に「労災保険」から支給されるお金のことです。業務を行っているときに生じたケガや病気(労務災害)は、事業主に補償する責任があります。労災保険とは、事業主の責任でケガや病気になった場合に国が代わりに支払いをしてくれるのですが、支給された金銭は税金の対象になりません。
そのため、労災保険に加入している人だけがもらえるお金であると言えます。会社員のほとんど全員が労災保険に加入しているため、会社員が労務災害で休業した場合にもらえるお金と言っていいでしょう。
また、労災保険の管轄は事業所の所在地を管轄する労働基準監督署になりますので、相談や疑問があれば問い合わせてみるとよいでしょう。
なお、期間に制限はありませんので、ケガや病気が治らず休業する間はずっともらうことができます。※休んでいても会社から給料が出る場合は、もらえない場合があります。
2.休業手当とは?どんな人がもらえるの?会社の責任について
休業手当って何?
休業手当は労災保険の加入有無に関わらず、会社の責任によって、会社が休みになった際に「会社」から支給されるお金です。こちらも休業補償同様、会社の責任で休むのだから、給料を補償しなければいけないというものです。
具体的には、
・会社の売上が良くないので、3日間休業にする
・材料を仕入れ忘れたので、今日はお店を休みにする など
期間の制限はありませんが、会社が長い間休業しているということは、会社の収入がないわけですから潰れる可能性が高い状態だとも言えます。
労災保険などの保険に入っている必要はありませんので、こちらも休業補償と同様に会社員のほとんど全てが対象になります。
休業補償と休業手当の共通点・違いをまとめると?
3.プライベート(業務以外)のケガや病気を助けてくれる制度はないの?
プライベート(業務以外)のケガや病気でもらえるお金(傷病手当金)
休業補償も休業手当も会社に原因があるため、休職をしていてもお金をもらうことができるので少しは安心できるわけが、では、プライベート(業務外)でケガや病気になった場合はどうでしょうか。
結論をもう上げますと、ほとんどの会社員の方は「傷病手当金」がもらえます。しかし、この手当金は「健康保険」に入っている場合にもらうことができるものになりますので、健康保険に入っていない場合(パートやアルバイト、会社から保険証をもらっていない人)はもらません。
しかし、休業補償や休業手当と違い「会社の責任ではない」ため、会社が払うわけではありません。
また、プライベートな理由に対する補償でもあることから、受給するための条件は少々厳しく、1~2日休業した場合ではもらうことができません。
簡単にはもらえない!?傷病手当金をもらうための条件とは
会社の責任である支払われる休業補償や休業手当と違い、傷病手当金は「健康保険」に加入していなければもらえないうえ、「プライベートなケガや病気」に対する補償であることから、以下のとおり少々条件が厳しくなっています。
そのため、腹痛で1日休んだ場合やぎっくり腰で3日寝込んだといった場合には対象となりませんので注意してください。
4.「通勤中の事故」「仕事のせいで精神的にきつい」は休業補償(労災)の対象になる?
通勤中の事故(退勤中の事故)に遭ってしまったら
結論といたしましては、通勤中のケガでも労災保険によるもらうことができます。
当然、「仕事に行くため」に通勤しているのですから労災保険の対象になりますし、
・車に乗っていて事故に遭った場合
・自転車でコケてしましケガをした場合 など
は、休業補償(厳密には休業給付ですが、割愛いたします。)が支給されます。
しかし、裁判などでよく問題になるのは、「仕事に行っていたか」ではなく、
・「仕事に行く(仕事から帰る)ために必要な行為か」
→知人(親族)の家に寄り道をしていた場合 など
・「日常生活上必要な行為だったか」
→トイレをするために、帰り道から外れてしまった場合 など
が問題となるケースがほとんどです。
仕事のせいで心に病を抱えてしまったら(仕事が辛いと感じている)
最近は、働き方改革が叫ばれていますが、その背景にはパワハラやセクハラ、激務による体調不良などがあります。しかし、労働環境が改善されていない職場も少なくなく、心の病気で会社に行けなくなることや、最悪の場合は精神的な障害を患ってしまう方もいます。
これらの病気は、いわゆる労務災害としては判断されにくいですが立派な労務災害です。
診断書がでていないために労務災害に認定されないといった話も聞きますが、労務災害でなくとも3日以上継続して休んでいる場合には、「③傷病手当金」の対象になります。
つまり、心の病気で休業している場合は、「休業補償」「傷病手当金」のどちらも受給できる可能性がありますので必ず相談をしましょう。
※会社に相談するのがイヤな場合で「傷病手当金」の相談をしたいときは、健康保険証に書いてある連絡先に相談してみましょう。
5.まとめ(休業をしたときにもらうことができる補償や手当)
仕事が理由でケガや病気になってしまったときは、「休業補償」労災保険(労働基準監督署)が力になってくれる制度になっており、また、会社が原因で仕事がなくなり、給料がもらえない場合でも会社は「休業手当」を支給する必要があります。
一方で、プライベートな理由でケガや病気になった場合であっても、条件を満していれば「傷病手当金」を受給することができます。
また、会社が原因か自分自身に原因かが曖昧な場合や会社が認めてくれない場合などは、とりあえず「健康保険」に相談することで「傷病手当金」を支給してもらえます。
仕事が原因にせよ、プライベートが原因にせよ、ケガや病気で休まなければならなくなったとき、まずは自分の療養に努めなければなりません。そんな中、少しでも安心して過ごすために労災保険(休業補償)や健康保険(傷病手当金)などをはじめとした会社員のための保険を活用して、少しでも早く回復できるといいですね。
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