退職をしたあと、再就職までの収入を保障してくれる失業保険(失業手当)ですが、自己都合退職の場合でも失業手当はもらうことはできるのでしょうか。また、会社都合退職の場合だとどのようなメリットがあるのでしょうか。
自己都合退職と会社都合退職のメリット・デメリット、失業手当の額・支払い日数について解説していきます。
この記事の結論は、
- 失業手当の額は、1日当たり給料の45~80%程度。
- 自己都合退職でも失業手当はもらえるが、会社都合等の方が2倍以上優遇される。
- しかし、失業手当の「1日当たりの額」は変わらない。
1.失業保険ってなに?自己都合の退職でももらえるの?
仕事を失ってしまった(退職した)場合、収入が途絶えてしまいます。
しかし、収入がなければ生活をすることはできませんので、次の仕事が見つかるまでの間、ハローワークから定期的にお金がもらえる制度のうちの1つが失業保険(失業手当)です。※雇用保険に加入している人しかもらえません。
アルバイトなどで生計を立てながら求職活動まで行うのは、大変困難ですので「求職」をした場合には一定額をハローワークが払ってくれるわけです。
そして、雇用保険に加入している人であれば、どんな理由で退職しても(自己都合・会社都合)失業手当をもらうことができますが会社都合で退職をした場合の方が優遇される制度になっています。
2.自己都合退職の場合の失業保険はいくら?何日もらえるの?
自己都合の退職をしたときに失業保険がもらえる要件
失業手当をもらう大前提として、退職するときに雇用保険に加入している必要があります。そのうえで、退職の日から2年前までに「被保険者期間」と呼ばれる月が12か月以上あれば失業手当をもらうことができます。(上図の中の○が被保険者期間に該当する月)
ご自身が雇用保険に加入しているかを確認する場合は以下の記事をご参照ください。
自己都合の退職をした場合にもらえる失業保険の額
すでに紹介したとおり、失業手当は「求職」をした日にハローワークからお金がもらえる制度です(※日払いではなく、月払い)。その失業手当の額は、退職した時の給料(※厳密には、既出の被保険者期間とされた月)を1/30にした額に45~80%をかけたものになります。
自己都合で退職した場合の受給日数は90~150日
失業手当は、無制限にもらえるわけではありません。勤続年数に応じて受給日数(失業手当をもらうことができる総日数)が90日・120日・150日と決まっています。また、受給期間(失業手当をもらうことができる期間)には制限がありますがこちらは共通で「1年間」となっています。
上図の場合であれば、雇用保険に加入していた期間は3年間なので、退職から1年間以内に「最大90日分」の失業手当をもらうことができるというわけです。
3.自己都合の場合と会社都合の場合のメリットデメリット
自己都合退職と会社都合退職それぞれのメリット・デメリットといっても、会社都合による退職である場合に受給日数や受給期間が優遇される制度ですので会社都合で退職することによるデメリットはありません。(※会社の悪評に繋がるなど、会社へのデメリットになる可能性はありますが…)
離職に係る特別な理由については、厚生労働省のホームページに記載してあります。
①自己都合と会社都合の場合にもらえる失業手当の日額は一緒
失業手当の日額については、会社都合退職による優遇はありません。
後述③のとおり、会社都合で退職した場合は、受給できる日数が多くなることから失業後に受給できる失業手当の総額は会社都合の方が多くなります。
②失業手当をもらえる権利はいつ発生するのか?(会社都合なら6か月)
自己都合による退職をした場合は、退職の日から2年前までに被保険者期間が12か月以上あるときに限り失業手当をもらうことができます。
しかし、会社都合による退職をした場合は、退職の日から1年前までに被保険者期間が6か月以上ある場合も失業手当をもらうことができます(※2年前までに12か月以上を満たしている場合もOK)。
③会社都合による退職をした場合の受給日数と受給期間について
受給日数も会社都合による退職の場合に優遇されていますが、受給日数は「退職の理由」「退職時の年齢」「勤続年数」によって、最低90日~最高330日に設定されています。
一方、受給期間は自己都合退職の場合と同じで「1年間」となっています。※330日の場合のみ395日
どのような退職をしたとしても1年間以内を目安に再就職をしてもらうことを想定していますが、会社都合による退職をした場合は長い間、保障を受けることができるわけです。
④【重要】自己都合退職の場合は、失業保険をもらうのが遅い!
失業手当は、退職後にハローワークへ行きすぐにもらえるわけではありません。自己都合による退職の場合は「7日間」の待期期間と「1~3か月」の給付制限期間が経過しなければ、失業手当をもらうことはできません。
しかし、会社都合による退職である場合、給付制限期間(1~3か月)を待たずとも、待期期間(7日間)のみの経過で失業手当をもらうことができるのです。
この給付制限期間は、1~3か月と大変長く場合によっては新しい職業が見つかってしまうこともあります。会社都合の退職とする一番の価値はこの給付制限期間の免除にあると言ってよいでしょう。
4.まとめ(会社都合退職にすることによるメリット)
会社を退職したあとから新しい職が見つかるまでは、収入がなくなってしまいますが、雇用保険に加入していた場合は、失業手当を受給することができます。
また、失業手当を受けようにも自己都合退職の場合は「待期期間」と「給付制限期間」の計1~3か月が経過しないともらうことができない一方で、会社都合退職の場合は7日間経過すれば失業手当をもらうことができます。
会社都合にも関わらず、自己都合で手続きをしてしまうと大きく損をしてしまいますので気を付けてください。
ご意見、ご感想は問い合わせフォームまで
↓会社都合による退職だと、国民健康保険税・保険料が安くなる!
コメント