大きな災害があったとき、あなたの生活再建に関わる法律を解説
毎年、当たり前のように発生する大型の台風や大雨。近年は、九州・中国地方だけでなく関西・関東・東北にも襲来するようになりました。
また、内閣府の報告によると、首都直下地震や南海トラフ地震が発生した場合、何百万、何千万もの人が被災するともいわれている日本において、災害はもはや他人事ではありません。
そんな災害大国である日本で、個人の力で復旧をするには限りがあります。そこで今回は、大規模な災害に見舞われたときの助けとなってくれる、国がもつ2つの災害関係法(災害救助法、被災者生活再建支援法)について解説していきます。
被災者を支援してくれる法律である「災害救助法」と「被災者生活再建支援法」ですが、これらの法律を活用した、住宅の修理や新たな住まい(新居・借家)の確保はもちろん、お金がもらえるのかなど、災害時の法律のイロハがわかります。
1.災害救助法と生活再建支援法(生活再建支援金)ってなに?
まず、災害救助法と生活再建支援法(正式には、被災者生活再建支援法)ですが、どちらも災害が発生した時、被害が生じたときに都道府県が市町村を単位として、発動(適用)する法律です。これらは、「法律」なので、都道府県や市町村(自治体)によって内容(支援)に差はなく、「日本全国」どこでも適用される可能性があります。
2つの法律の共通点
2つの法律に共通していることは、①と②の2つです。
①発災後、法律が適用されなければ支援は受けられない
災害がおきた場合、日本全国すべての市町村において、法律が適用される可能性があります。しかし、どんな小さな災害(地域の突風や小規模な地震など)に適用されるわけではありません。お住まいの地域で、住宅がどれくらい壊れているかなどで適用が判断されます。
②適用された都道府県や市町村(自治体)にのみ効力が発生する
法が適用される場合の単位は、市町村です。市町村ごとの住宅の被害状況によってに法律を適用するかを判断する制度です。そのため、隣の町は適用されたにも関わらず、自分の住んでいる市は適用されていないといった事態もあります。
災害が起きた場合は、内閣府やお住まいの市町村・都道府県ホームページをご覧ください。
2つの法律の相違点
一方で、2つの法律の相違点は、
①法律が適用される条件・タイミング
災害救助法は災害発生時(被災中)すぐに適用されることがほとんどで、災害が止んだ後に適用されることは少ないです。一方で、生活再建支援法の適用については、災害が止み、被害の全容が明らかになった頃から2,3週間くらいまでに適用されることが多いです。
②支給されるもの、受けられる支援制度
最大の違いは、災害救助法では「現物」が支給され、生活再建支援法では「現金」が支給されるという点です。
現金の支給は明白ですが、「現物の支給」というのは聞きなれませんが簡単に言うと「物」がもらえるということです。家の修理をするのであれば、修理代ではなく修理の契約を役所がしてくれますし、アパートを借りるなら、賃料ではなく、アパートの賃貸契約を役所がするので、そこに住むことが出来る。ということです。
2.支援を受ける基準はどうやって決まっているの?(罹災証明書)
全員がそれぞれの支援を受けることが出来る訳ではなく、罹災証明書の区分(全壊、大規模半壊、中規模半壊、半壊、準半壊、準半壊に至らない(一部損壊))に応じた支援を受けることが出来ます。
【罹災証明書とは】
〇お住まいの市町村(役所)で申請・取得することが出来ます。
大規模災害の時は、同時にたくさんの方が申請・取得するので時間に余裕があるときに行く、郵送が利用できないかなど役所に聞いてみましょう。
〇住んでいる家が壊れたとき、役所の人が調査に来る
壁や屋根の破損や、内部への浸水など、家財ではなく住んでいる家に被害がどの程度あったのかを証明するものです。どの程度の被害があったかは、役所の人が判定してくれます。
〇基本的な判定の区分は6区分
全壊、大規模半壊、中規模半壊、半壊、準半壊、準半壊に至らない(一部損壊)に分類され、場合によっては、「床上浸水」や「床下浸水」などが記載されています。
◎アパートなどの賃貸に住んでいる方も取得することができます。そのため、持ち家でなくても自室に被害があった場合、判定の区分次第で支援を受けることができます。
3.災害救助法と被災者生活再建支援法でもらえるもの
災害救助法でもらえるもの
災害救助法が適用された市町村にお住まいの場合、罹災証明書の区分に応じ、以下の種類の支援を受けることが出来ます。前述のとおり、「現物」がもらえる制度なので、お金をもらえるわけではなく、役所が代わりに契約(購入、提供)してくれますので役所に相談しましょう。自分で契約して、支払いなどをした場合は支援が受けられないので注意が必要です!
受けられる支援制度の例
・住宅の提供(民間賃貸/仮設住宅)
→災害で住宅が壊れた場合や避難を要する場合に自治体から住宅が提供されます。
・住宅の修理
→災害で住宅が壊れた場合、自治体が一部修理を行ってくれます。
・障害物の除去
→災害で住宅や住宅に通ずる道に土砂や障害物が流入した場合、自治体が除去をしてくれます。
※詳細な条件やその他の支援制度はコチラ↓
被災者生活再建支援法でもらえるもの
生活再建支援法が適用された市町村にお住まいで、罹災証明書の区分が「全壊」、「大規模半壊」または「中規模半壊」と判定された場合、生活再建支援金(現金)が支給されます。また、支給される額は、「基礎支援金」と「加算支援金」に分けられています。
※詳しくはコチラ↓
4.その他の支援
災害救助法や生活再建支援法のほかにも、都道府県や市町村で独自の制度を作っている自治体もあります。お住まいの自治体に問い合わせてみましょう。
5.まとめ
災害救助法と生活再建支援法の差、お分かりいただけたでしょうか。どちらも被災したとき、助けてくれる法律ですが内容は全く異なります。被災した方が一刻も早く元通りの生活に戻れるように祈っております。
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